【ディプロマシーの初手を開拓しよう】イタリア①

どうも、来年こそはネモフィラを観に行こうと決意しました、四扇イドラです。

 

【ディプロマシーの初手を開拓しよう】イタリア編です。

ついに7か国めということで、短いような長いような。やっぱりあれですね、遅筆は良くないですね。

 

ディプロマシーにおけるイタリアといえば、かなり不憫なポジションでして最弱国なんて言われたりもします。実際に勝とうと思うとなかなか難しく、とくに18拠点取るまで続くオリジナルのルールだと並々ならぬ苦労と幸運を必要とします。

が、僕個人としてはイタリアはとても好きで、というのもやるべきことが明確なのと、序盤にかかる圧力が小さいことから比較的のびのびプレイできる感じがします。

 

大雑把な序盤の戦略としてはトルコと戦うか、オーハンと戦うか。ごくまれにフランスを攻めに行くというのがあるくらいでしょう。

それぞれある程度効率化された行軍が(外交とは独立して)ありますので、それを見ていくことにしましょう。

 

なお、最初にフランス攻めをすることをウェスタン・レパントと呼ぶのですが、その検討を②でじっくりすることにして、今回は対トルコ、対オーハンのオープニングを紹介します。

 

全体の趣旨的なものはどこかの記事にありますので、ご参照ください。

画像はオンラインでディプロマシーをプレイできるwebDiplomacyというサイト

https://webdiplomacy.net/

の対AIゲームの盤面となります。

ちなみに各オープニングの名前はテキトーです。名が体を表してないこともままあります。

1 レパント

ヴェニス:維持

ローマ→アピュリア

ナポリ→イオニア海

 

この行軍の本質は、1901年秋にイオニア海軍で陸軍をチュニス(TUN)に輸送しようというところにある。

イタリア本土からみて海の向こう側にあるチュニスゆえに、海軍でこれを取りに行こうと考えてしまいがちである。が、海軍国であるイタリアにとって海軍の移動効率はまさに生命線であり、他方の陸軍は取り回しが悪い。

そこで、本土に不要な陸軍をチュニスに送り、海軍はイオニア海に浮かべたままにして1902年以降すぐ動かせるようにしよう、というのがこのオープニング。

 

さて、海軍を使って攻める場所といえばトルコかフランスだが、フランス攻めをしたいならイオニア海ではなくティレニア海に入れるほうが効率的だろう。

したがって、この行軍を選んだということはトルコと戦う未来を選んだということにおよそ等しい。(1901年秋にイオニア海軍をチュニスに入れて梯子をはずすという手もないではないが、やはり薄い線である。)

 

ちなみに、ローマ陸軍はイオニア海で輸送できる場所なら問題はないように思えるかもしれないが、ナポリではなくアピュリアに入れるよう注意したい。

というのも、万が一、事前の連絡に反してオーハンがヴェニスを取ろうとしてきた場合(例えば初手ウィーン→チロルとした場合)にヴェニスに維持支援を出せる場所に軍を置いておきたい。

このときは妥協して海軍でチュニスに入り、トルコに背後を突いてもらいながらオーハンを攻め返すことになろう。

なお、オーハンが3軍でヴェニスを取りに来た場合は1増1減となってしまう。このときはオーハンの無理心中に巻き込まれたことを嘆きながら頑張って耐えよう。

 

(レパントの1901年秋以降の行軍手順についてはキーレパントの説明で触れられるかなと思う。が、一応簡単に触れておくと、海軍を増産して東地中海とイオニア海に浮かべ、チュニスの陸軍をシリアに輸送して3軍(+露ないし墺の軍)で圧迫するという工程となる。)

2 レパントの亜種

ヴェニス→トリエステ

ローマ→アピュリア

ナポリ→イオニア海

 

レパントをしてトルコと戦おうというときにオーハンとも戦うだけの余裕はない。いくらイタリアが攻め込まれにくい形とはいえ、1対2には耐えられない。

したがって伊墺は少なくとも不可侵の同盟を結んでヴェニスは維持するのがセオリーであるがアレンジは可能である。

それがヴェニスにトリエステへの移動命令を出すことであるが、その目的は2パターンありうる。

 

第一に、双方の安全のためである。

これはオーハンもトリエステ→ヴェニスとすること、およびその行軍を互いに外交で伝えることを前提とする。

イタリアからすればオーハンが3軍でヴェニスを取りにくれば苦しい状況になるからこれを回避したいが、ブダペスト→トリエステとSOできてこれを防げる。

オーハンからすればイタリアが2軍でトリエステを取りにくれば対応を迫られるからこれを回避したいが、ナポリ→ヴェニスとSOできてこれを防げる。

と、最悪の状況を回避できること(すなわち相手方に裏切るメリットがないこと)を示しつつ不可侵を確実なものにするという点で、相互侵攻による合意SOには十分な価値がある。

 

第二に、トルコ攻めを効率的に進めるためである。

これはオーハンがトリエステ→アルバニアとすること、およびその行軍を互いに外交で伝えることを前提とする。

この形から始まるトルコ攻めをキーレパントといい、これについては後日書く。

簡単に言うと、「対墺防衛のための1軍が無駄だからオーハン領を通過させてもらってトルコと接する場所まで移動させる」作戦である。

 

トルコを担当するプレイヤーがレパント(あるいはキーレパント)を知っている場合には上記目的は透けてしまうだろうが、もし仮に相手が初心者である場合には伊墺の協力がうまくいってないように偽装し油断を誘えるかもしれない。

 

やってもいいし、やらなくてもいいという案で、あとは安心感とか信頼感とかそういうふわっとした要素で決めればよいと思う。

3チロルアタック

ヴェニス→チロル

ローマ→ヴェニス

ナポリ→イオニア海

 

中央三国(独墺伊)で不可侵となるであろうチロルに侵入する行軍。

陸軍を2軍とも北上させ内陸に進攻しようという姿勢が見られ、要するにオーハンを攻撃しようという行軍である。

ロシア、トルコとの関係でてんやわんやのオーハンを背後から強襲しようという戦略で、一定の有効性はあるだろう。(それなりの確率で次ターントリエステが取れるし、チュニスで1増は確保してあるから安定感もある。)

 

もちろんデメリットもある。

オーハンを3人で分け分けした場合、トルコとロシアがおいしい思いをしがちである。イタリアがトリエステへの支配を確立したころにはロシアがブダペスト、ウィーンをかっさらい、ロシアがギリシアを経由して地中海を西進しているということになりかねない。

成長したロシア、トルコがそれぞれ面倒なことは周知の事実で、とくにトルコ伸長のあおりを受けるのはイタリア自身である。

というわけで、オーハン攻略に手を貸すことには十分慎重でありたい。

(他方で墺土の目線がロシアにあるのであれば、それなりに有意だろう。)

 

ちなみに以下の通り海軍をティレニア海に入れるパターンもある。輸送できない以上はどうせチュニスに進めるよりほかにない。したがって経由がイオニア海かティレニア海かはどちらでもいいことこの上ない。

まあ、トルコないしフランスから強い要望があった場合には対応してあげてもいいだろう。

コメント

えー、筆圧から伝わったかもしれませんが、個人的にはレパントが好きです。いかに効率的な手順でレパントを完成させるかがディプロマシー全体における最も好きなテーマであり、地中海をめぐる読み合いの時間に幸福を感じる民です。

 

もちろん、海軍国であるイタリアは、同じく海軍国となりうる(トルコがオーハン、ロシアと組めば必然的に海軍国となる)トルコと対峙することが多く、レパントはかなり有効な一手となります。

が、これはオーハンの協力(最低でも不干渉)が必要であり、墺土が仲良しという場合には途中で頓挫することになりましょう。

ということで、墺土仲良しの場合に備えての策も用意しておく必要があります。これがチロルアタックということになります。当然、ロシアとの協力は必至で、かつ、ロシアとトルコは喧嘩する理由がありませんから、十分な打ち合わせをしましょう。

 

以上がイタリアの基本的な初動となります。

だいたいの場合はいずれかのオープニングで何とかなります。(あるいは、どのオープニングでもどうにもなりません。)

が、お気づきでしょう。いずれも東欧でのわちゃわちゃに首を突っ込む行軍であることに。イタリアは実は西欧に隣接する国ですので、西欧に首を突っ込んでもいいはずです。

ということで、次回は初手フランスに侵攻するウェスタンレパントの手順を検討することにしましょう。僕はやったことがないですが試してみたくて仕方がないので、それなりに詳細に検討することになると思います。