【ディプロマシーの初手を開拓しよう】イタリア② ウェスタンレパント

どうも、絶賛五月病の四扇イドラです。

 

【ディプロマシーの初手を開拓しよう】ウェスタンレパント編です。

これを検討したいという欲求からこのシリーズを思いつき、ここまで書いてきたといっても過言ではないでしょう。

もちろん実際にやったことはないので、手探りの記事とはなりますが。

 

ウェスタンレパントは、簡単にいうとイタリアが最初から海軍を使ってフランスを攻略しようとする戦略のことを指します。その効率からほとんど行軍の仕方が決まっているようなのでそれを紹介しつつ、フランスの動き方に応じて1901年冬までの動きとセットで検討できたらいいなと思っています。

 

全体の趣旨的なものはどこかの記事にありますので、ご参照ください。

画像はてりや菌さんの公開されているブラウザツール

Dipssistant Lite

の盤面をスクショし、矢印を書き込んだものとなっております。

(画像編集が下手で見づらいです、ごめんなさい。)

1901年春

ヴェニス:ピエモント

ローマ→トスカーナ

ナポリ→ティレニア海

 

ウェスタンレパントという名前にふさわしく、3軍すべてを西方に向かわせる。

1902年秋には輸送するからローマ陸軍は移動させなくていい気もするが、こちらの行動が透けるのは嬉しくない。チュニスを海軍で取って陸軍は素直に西進させるという選択肢を一応残しておくためこの行軍とする。

 

ちなみにオーハンがトリエステ海軍をヴェニスに進めた場合には早々に挫折することになる。これは初手フランス攻めであれば必ず付きまとう問題なので、外交によって予防するよりほかない。

1901年秋

ピエモント→マルセイユ

トスカーナ→チュニス(ティレニア海で輸送)

 

1901年春に選択肢を残したものの、結局はトスカーナ陸軍を輸送するのが良い。何より1902年春にリヨン湾と西地中海のどちらに入るかの択を持つことができ、西進がスムーズに行く。東欧の争いが解決するまでというタイムリミットがある以上、1ターンの後先が重要であり、無視できない差となる。

 

他方、悩ましいのはピエモントの取り扱いである。上の図ではフランスの陸軍がマルセイユにいるから、素直にマルセイユへの行軍命令を出してしまってよい。

もしマルセイユがスペインに行けばマルセイユを取ることができるし、維持命令を受ければSOとなるだけである。ブルゴーニュに陸軍がいてマルセイユに南下する可能性がある場合でも、マルセイユ・スペインと陸軍に並ばれると攻略が面倒なのでメリットのほうが大きいといえよう。

 

問題はマルセイユに陸軍がいない場合である。

この状態でフランスにとって最も望ましいのが、マルセイユでSOとなることである。マルセイユをイタリアから守りつつ、1901年冬の増産でマルセイユに海軍を置くことができる。フランスが対伊するのに海軍は必須だが、ブレストに造ったのを回してくるのでは時間がかかりすぎる。

逆にいえば、イタリアとしてはマルセイユに海軍を作らせなければそこそこ有利に進めることができ、ピエモントを維持するという選択肢が頭に浮かぶ。

が、その選択肢は当然フランスも承知していて、フランスがスペインを維持した場合、SOしたのと同じ状況になってしまう。

ということで、ピエモントとスペインでじゃんけんをするということになる。

 

個人的には後述する最悪の状況を避けるために、SO覚悟でマルセイユに入るほうが成功率が高い気がする。

 

フランス海軍がイギリス海峡に入った場合は少し話が変わってくる。

フランスがイベリア半島2増を得るためにはスペイン陸軍を動かさなくてはならない。SOとなった場合の嬉しさが比較的小さく、イタリア目線ではマルセイユに入る方向に動くものと考えられる。

フランスの増産を減らせれば、対伊か対英のどちらかが手薄になるわけで、大きな目でいれば利益となる。

 

1901年冬

1901年冬の増産は実は少しだけ悩ましい。

スイスがあって陸軍が1軍ずつしか進めないことからフランス攻略に海軍がたくさん欲しく、1901年冬も海軍を造るので良いと思われるが、問題はどこに増産するかである。選択肢としてはナポリとローマがある。

 

ナポリのいいところは、トルコに攻められた場合に本土防衛に使うこともできること。

ローマのいいところは、ティレニア海が動かせない可能性のある場合にトスカーナを経由してリヨン湾に移動するルートが残ること。

こればかりは東欧事情によるし、1901年終了時のフランスの配置によるとしかいいようがない。ちょっと複雑なのでパターン分けできないが、うまくいきそうならローマ、不安ならナポリということで良いだろう。

 

今回はナポリ増産の画像を使うが、ローマ増産でも同じ行軍で良い。

1902年春

1902年春以降は場合分けが多すぎるので画像で示すにとどめるが、基本的な方針はいかにリヨン湾、東地中海に入り、イベリア半島を取るか、である。

なお、黄色い部分は悩ましい行軍(相手との読み合いが発生する箇所)であり、赤い部分はその通りに動かして問題がないだろうという行軍である。

 

(リヨン湾も西地中海も100%入れるので読み合いは発生しない。あとは次ターン海軍がリヨン湾にいるのと西地中海にいるのでどちらが動かしやすいかの検討であるが、答えが出なかったので併記した。)

以上がウェスタンレパントを進められそうな盤面である。

読み合いが発生する場合もあるが、基本的には1902年春ないし秋にはリヨン湾、西地中海に入れている状況を作れるであろう。

これに対して、以下の場合にはウェスタンレパントの継続は困難である。

この場合にはフランスとのじゃんけんを繰り返しながら粘り背後からドイツないしイギリスが攻撃してくれるのを待つか、フランスに土下座して和解し反転して東欧に参戦するかの選択を迫られる。

いずれにしても困難な道が続いており、ウェスタンレパントを採るということはそのリスクを抱えるということを憶えておく必要がある。


コメント

ということで、イタリアの対仏戦略であるウェスタンレパントの手順について検討してきました。

最適な行軍は当然フランスの行軍によって変化しますから、場合分けをして検討できたのは良い機会となった気がします。

改めてざっくりいうと、リオン湾と西地中海を取りに行く、取れそうなら取れそうなほうからガンガン取る。海軍は2軍以上使う。この辺りを意識しておけば形にはなる気がします。

 

なお、留意すべき点がいくつかあります。

第一に、イギリスないしドイツの協力が不可欠ということです。西欧の3国同盟が結成され、フランスが対伊に集中できればおよそ成功しない戦略です。ドイツに陸から攻めてもらうか、イギリスに北から攻めてもらうかしましょう。

第二に、最終的には拠点を取る必要があるということです。イベリア半島とマルセイユで3拠点取れればかなり大きな収穫ですが、そのためにはさらなる海軍か陸軍、ないし英独の軍を活用する必要があります。うまく連携して拠点を取りつつ、英独と喧嘩にならないように妥協するラインを決めましょう。

第三に、東欧事情を気に掛ける必要があるということです。トルコが勝つような場合、かなり強力な敵となって現れます。イギリスと挟撃されたらかなり困ります。そしてそれはタイムリミットという意味でもあります。フランス攻略に時間がかかりそうなら和解も視野に入れるべきでしょう。

 

かなり珍しい行軍ですが、オーハンを信用することができ、ロシアが十分にトルコを警戒しているようであれば、かなり有意な戦略という気がしてきました。対AIでやると確実に泥沼化しますが、いつかどこかの対人戦で挑戦してみたいものです。

 

おわりに

【ディプロマシーの初手を開拓しよう】シリーズいかがだったでしょうか。

かなり網羅的にオープニングを見てきたような気がします。もちろん検討しきれていないものや、特殊な外交と結びついて初めて有効になるものもあるでしょうが、たまに遊ぶくらいであれば十分幅のある選択肢を提示できたものと信じております。

 

とはいえ、ディプロマシーの楽しさはやはり外交にあり、刻一刻と変化する盤面に対応しようと思考を巡らせることにあります。ゲームのなかで瞬間瞬間における最適解を模索する営みを楽しんでもらえればと思います。

その際の、ある種の参考としていただければ幸いです。

(明日、概略と行軍だけを羅列したまとめ記事をあげますので、ぜひご活用ください。)

 

また、疑問意見反論その他、何かございましたらコメントにてお知らせください。

                                 以上。