【第3回】護る -人狼ゲームにおける選択を眺めて-

どうも、最近シャーペンの便利さを再認識しています、四扇イドラです。

 

今回も前回までに引き続いて、人狼ゲームにシステム上用意された選択を眺めつつ、思考を整理していこうと思います。

 

あくまでも整理ですので、思考の踏み台というか、叩き台として使っていただけたら幸いですし、絶対の戦略をご提示するものではないということをあらかじめお断りしたところで、内容に入っていきましょう。

 

誰を護るかという選択

前回お話したように、騎士の能力である護衛を誰に対してするか、という選択を眺めていくことにします。(連続ガードなしのレギュレーションを念頭に置きます)

 

さて。騎士。

みなさんは騎士という役職にどんなイメージをお持ちでしょう。正直に申し上げると、僕はそんな得意じゃないんですよね。

わりと素直に護衛先を決めてしまうのでGJがなかなか起きない。起きるとしても偶数進行を覚悟して占い連咬みに来た場合に1回目を防げる、くらい。

それで良いという気もしつつ、変態護衛ができる上手い人になりたい気もしつつ。下手に真似しようとしたら逆にひどいことになりそうな気もしたり。

 

とはいえ、思考の整理をしていくことは誰でもできるはずですので、試みていきます。

 

1.役職者を護りたい

正直役職を護れれば騎士としては十分及第点だと思われます。

役職者を護ることのメリットは、能力行使の結果を見ることができることと、白位置を残すことができること。

逆に言えば、この両メリットがない場合にはその役職者を護る必要はなくなります。

(前者のメリットがない場合として全黒を見つけた占い師、後者のメリットがない場合として真偽が付かない霊能者など。)

 

2.白位置を護りたい

占いの結果により確白になった村人や、全視点から白置きされている市民の存在というのは投票の対象になりませんから吊りにおいて人狼への大きなアドバンテージになります。

あるいは、投票の対象にならないというのみならず、進行役となって議論を仕切ったり盤面を整理したするという意味でも有意義でしょう。

 

3.護衛を捨てたい

さて、この選択こそが騎士の護衛に特有のものとなります。

何を考えて護衛を捨てるか。

連続ガードができない以上、役職者や白位置をずっと守り続けることはできません。そうすると、適時に役職者や白位置を護れるように、その前日にはその人に護衛を入れたくない、と考えるわけです。

 

上手く説明できている自信がないので例を示しましょう。

13人村を想像してください。

初日に占いCOがなかったとします。翌日の議論ではCOがあるでしょうから、2日目の夜には日中占いCOした人を護衛したいはずです。

しかし、初日の夜に護衛が占いにあたっていた場合、2日目の夜にその人を護衛することができません。

そこで、初日の夜には占いでなさそうな人を護衛したいわけです。

霊能ローラーを始めた場合、(どうせ吊られる霊能を人狼が咬むとは思えないので)霊能を積極的に護衛するインセンティブはないのですが、万が一にも占いに護衛があたらないよう、霊能に(あるいは素村を透かしている人に)護衛を入れることが選択肢としてあがる。ということです。

 

位置づけとしては、役職者や白位置を護衛したいという考えの延長にあるように思われますが、忘れがちな思考なのであえて別建して記載しました。

 

4.GJをおこしたい

ここから先が、騎士に選ばれたプレイヤーに困難を強いる問題となります。

騎士にはGJ(護衛成功)をおこしたいという動機があります。

第一にGJがおこると吊り縄が増えるため。第二に人狼の咬み位置に選ばれた(推定白の)人を残すことができるため。

役職に護衛を入れるのも、GJによって重要な情報を保存するためである、という言い方もできるでしょう。

 

と、すると。GJをおこすための最も直接的な思考ルートは「人狼の咬み筋を予測する」ということになります。

が、人狼もまた、咬みを通すために騎士の護衛先を予測するわけですから、ここで読み合いが発生するわけです。

(前回積み残した「咬みの通る選択」というのは上記思考の結果としての「騎士の護衛」から外れた咬み選択ということができましょう。)

 

そうすると、人狼の咬み位置を考えることがかえって迷路になっていて、もはやギャンブルと呼ぶべき不透明な選択に臨むことになることでしょう。

 

GJをおこしたいという欲求は、最も本質的でありながら最も危険な欲求であるように思われます。

 

5.Rebuild

ここまで見てきて、護衛先の選択において騎士が考えることはそう多くないと気が付きます。

①吊り縄を増やしたい

グレーに使える吊り縄が増えれば勝率は上がります。基本的に2GJおこさないと吊り縄が増えないことは付言しておきます。

②白位置を残したい

最終盤面に何人の白位置がいるかは勝敗の行方に直結するでしょう。

③情報を増やしたい

情報というのは典型的には占いや霊能の結果でしょう(それ以外はあまり思いつきませんが)。

④白くなりたい

騎士2COはあまり想像できませんし、クロス護衛でいいような気がするので取上げませんでしたが、場合によっては真主張をできる護衛先を選択すべきかもしれません。(が、上記のどのメリットを重視したか説明できればあまり問題ないでしょう)

 

こうして眺めてみると、そのほとんどは人狼による思考の阻害を防ぐという表現もあり得るような気がしていきます。

護衛が「咬まれないようにする」というものである以上、GJを積極的に狙うにせよそうでないにせよ、人狼の視点を持つことが要求される役職といえるでしょう。

 

騎士が上手い人

選択を眺めるというテーマで書いていますので深く検討することはしませんが、騎士のふるまいについても、いちおう触れるだけ。

 

騎士がその特性上、人狼類似の視点/思考を求められるといいましたが、そこには困難が伴います。

すなわち、他の市民と視点/思考が違うと市民からは怪しまれ、人狼には騎士(ないし役職者である)と透けてしまいます。

開き直ってCOしてしまえば人狼に便利な咬み位置を与えることになりかねませんし、咬まれてしまえばそれ以降護衛することができなくなります。

 

騎士が上手い人というのは、市民の視点/思考と、人狼の視点/思考の両方を持ち合わせつつ、議論においては市民の視点/思考を稼働させ、夜ターンでは人狼の視点/思考を導入することができるのでしょう。

そういう多角的な視点と思考の切り替えを意識しつつ騎士をしたいものです。