TRPGのサイコロと、現実。

どうも、お久しぶりです、四扇イドラです。

 

近頃どうにも現実が忙しく、というより、僕自身の体力がすっかり衰えてしまって、気が付けば冬と春をスキップしてしましました。

その間なにもしていないかというと、実はそうでもなく、まったく初めての人にクトゥルフ神話TRPGを導入したり、マダミスのための調べ物をしたり……4か月たったにしては何もしていないに等しいですね。

 

ところで、今回は、そんなTRPGを導入しているときに思いついたアイデアの話です。CoCをやっているときに思いついたので、CoCをベースに話します。

 

【以下、TRPGをあまりよく知らない人間が書いています。既にそういう試みがなされたとか、故あってそうしていないなど、詳しい方がいらっしゃいましたら教えてください。】

 

さて、初心者に導入するにあたって、まずはキャラクターを作ってもらいました。最初ですから、通話をつなげて(言い忘れてましたが、その導入はいずれもオンラインセッションでした)、一緒に作ります。

僕は各ステータスをサイコロで決めるのが好きな人間なので、その時もそうしました。あとは、まあ初回ですから、細かいことは抜きにして、自由に技能を選んでもらいました。あ、一応推奨技能はちゃんと伝えましたが。

 

と、ここで、技能について説明する時間がやってきたのです。

すなわち「例えば、説得の技能の数字を60にすると、100面ダイスを振って60以下の数字が出れば、相手を説得することに成功し、61以上だと失敗したことになる。」などと。

まあ、CoCのもう少し細かいルールを言えば、決定的成功(クリティカル)/決定的失敗(ファンブル)だとか、7版でいうとハード成功/イクストリーム成功だとか、様々ありますが、ここではおいておくことにしましょう。

 

ここで取り上げたいのは、

・技能の成功/失敗がキャラクターの技能値と、サイコロの出目の大小できまること

・技能値はキャラクターごとに、最初に決められる

ということです。

 

さて、ここで少し現実の話をしましょう。そうですね、具体例として水泳あたりを念頭に考えます。

僕はこう見えて実はわりと泳げます。バタフライだけは泳げませんが。平泳ぎであればそこそこ長いこと泳いでられますし、立ち泳ぎも一応はできます。

ということで、ひとまず僕の「水泳」の技能値は33くらいだとしましょう。趣味レベルということで、本当はもう少し低いかもしれませんが、まあ3回に1回というキリのいいところで。

 

さて、この3回に1回成功というのは、妥当でしょうか。と、いうのが今回の話です。

 

僕は夏ごとに市民プールに行って泳ぐわけですが、1回も溺れたことがありません。どころか、人生で1回も溺れたことはありません。なるほど成功率は100%ですね。

ところで、僕は一度も経験がないのですが、海で沖に流されると、離岸流なるものがあるらしく、なかなか陸に戻ってこれないのだとか。そんな環境で3回に1回も泳いで戻ってくる自信はないですね。

あるいは、雨が降っていたり気温/水温が低かったりすると体力を消耗して長いこと泳いでいられないようです。どのくらいの距離泳ぎ切らなきゃいけないかにもよりますが、成功率は下がりそうですね。

 

そんなわけで、僕が泳ぐことに成功するかどうかは、その泳ぐ環境に大きく依存するのです。

 

話をTRPG(あるいはCoC)に戻しましょう。

水泳技能が成功するかどうかは、どんな環境で、どの程度の距離を、どの程度の速度で泳ぐかに大きく依存するはずだ、という話です。少なくとも、同じキャラクターであれば常に一定の成功率、などということはあり得ないはずです。

 

この点について、いくつかの画期的で、有意であろうシステムも存在します。

そのひとつが、先ほど挙げたハード成功/イクストリーム成功です。(ざっくり言うと、技能値の5分の1以下を出さなくてはならない/技能値の10分の1以下を出さなくてはならない。)

例えば、雨の日の翌日の川を渡ろうとするのであれば、通常より難しいはずであるからハード以上の成功が必要である、みたいに。

これはかなり現実を正確に反映させる可能性に富んでいます。倍率が5と10しかないのがアレですが、困難をキャラクターに突きつけるにはとても有効です。

 

あるいは、ボーナス/ペナルティダイスというのも存在します。(ざっくり言うと、2回のうち1回成功すればよい/2回のうち2回とも成功しないといけない)

例えば、体調が悪いのであれば、通常より難しいはずであるからペナルティダイスがつく、みたいに。これは、困難である方向だけでなく、容易である方向にも調整できるのがかなり強いです。イージーな局面も、人生にはありますからね。

 

さらに、KPがシナリオに従って、あるいは裁量で、技能値に補正をすることができたはずです。これはかなり細かい調整が可能で、成功確率を1%単位で上げ下げできるわけですから。

 

このように、その環境に応じて技能値を基準に様々な調整をすることができるようなシステムにはなっています。

とはいえ、これら調整を毎度毎度やっていくのは骨であるばかりか、セッションのスムーズな進行を妨げかねませんし、プレイヤーにとっても複雑で面白くありません。そもそも現実をすべてTRPGに反映させようなどという思想自体がおこがましい話なのかもしれませんが。

 

が。

やはりリアリティを追い求めたい。

そこで思いついた試みが2点。

 

1点目が、技能ごとに、成功率を大きく左右するような環境・状況をある程度類型化し、それぞれについての補正をまとめたガイドライン的なものを作成し、GMがこれを辞書的に使い、あるいは使わないということ。

この試みの難点は、誰が、どういう立場(責任)でガイドラインを作成し、GMはどの程度これに縛られるかのコンセンサスが取れないこと。まあ、いつも遊ぶ仲間内で使うならいいんでしょうが、それはもうそのグループのノウハウとしてわざわざ明文化しなっくても利便性は変わらない気がします。

TRPGが自由な遊びであることから遠ざかってしまう気もします。(まあ、ガイドラインを作ったうえで、それを無視してもいいわけですから、自由ではあるんですけどね。)

 

2点目が、環境・状況、あるいは場面ごとに技能の成功率をあらかじめ設定しておく、というシステムを作り出すこと。

例えば、

PL「この川って泳いで渡れますか?」

GM「この川を泳いで渡ろうとする場合、成功率は30です」

みたいに。

ルールブックに典型的な地形や状況、場面ごとのおよその成功率を記載していき、細かい描写による調整や、そこにないシーンについてはシナリオを作る段階で設定していく、とすれば、僕のいう、環境に左右される成功率という目的は達成されます。

そのうえで、キャラクター作成において、それぞれの技能の補正値を決めておく(これをもってキャラ作成とする)のであれば、キャラの能力の反映もできる気がします。

PL「水泳なら+10の補正があります」

GM「じゃあ、成功率40で振ってください」

というように。

究極的には、やってることは上記の(現状の)補正と変わらないですが、原則と例外を、あるいはPLとGMの役割を、あるいはその重みを入れ替えていることになります。

僕個人としては、個人の能力より環境の影響が大きいという考えをどこかで持ってるのでしっくり来たりします。

もちろん難点はあります。いうまでもなく。たとえば、セッションごとに結末が変わりにくくてつまらんだとか。シナリオを作る人の負担が大きすぎるだとか。あるいはPLの自由な発想が発揮されにくいだとか。

とはいえ、アイデアとしてはおもしろそうだなと思ったので残しておいた次第です。

 

繰り返しになりますが、こういうシステムのTRPGがあれば教えてください。遊びたいので。

 

 

 

追記

この記事を書くにあたって、まあ、現実の方の具体例を探していたわけですが。人生で訪れる確率は、その多くが10パーセント以下か、90パーセント以上のような気がします。ムリなものはムリだし、できることは普通できる。純粋な確率の場面(赤と青どっちの配線を切るか、みたいな)を除けば、成功率五分五分、みたいなことってあんまりないんじゃないですかね。

まあ、日常から離れた探索をする機会が、僕(たち)に少ないだけかもしれませんが。