ディプロマシーについての自省録②

どうも、紅茶もホット派の四扇イドラです。

この記事は、僕がディプロマシーでやりがちなミスを自省的に紹介するものです。

ディプロマシーの世界に入ろうというみなさんにとって何かしら参考になれば幸いです。

 

前回に引き続いて、ディプロマシーの戦術的なあれこれを書いていこうと思います。

2.維持支援はした方がお得という話

さて、みなさんがディプロマシーのゲームに参加すると、親切なGMにこういわれるかもしれません。

「維持命令についてはとくに命令書を書かなくて大丈夫です」

実際ルールブックにも、命令を受けていないユニットは維持命令を受けたものとみなすと規定されていますから、何も間違っていませんし、とても良い進行だと思います。

 

が、この一言は初心者を共通のミスへと誘い込みます。

すなわち「とくに動かさないユニットについて、命令を考えること自体を忘れる」というミスです。

移動させようとするユニットのことを失念するプレイヤーは少ないですし、これを移動支援、輸送させるユニットについても、行軍が成功するかがかかっているわけですから、注意深くチェックするでしょう。

しかし、今いるところに置いておけばよいユニットのことがスポーンと頭から抜け落ちるということは多々あります。それが、他国のユニットに隣接していたとしても……。

 

ディプロマシーには相互維持支援と言って2ユニットが相互に維持支援しあって防御を固める戦術があります。計3ユニット以上で責められなければ両方とも守れる(じゃんけんにならずにすむ)わけですから、これを出さない理由がありません。

守るための維持支援という意識を常に持っておきましょう。

 

ちなみに第5版のルールブックによれば、輸送命令、支援命令を受けているユニットに対しても維持支援を行うことができますから、手の空いているユニットには維持支援命令を出しておくくらいの気持ちでもいいと思います。(GMの処理の負担は増えてしましますが……)

 

あるいは、外交上の思惑から隣接する他国ユニットに対して依頼されてもいない維持支援をしてみても、面白いかもしれませんね。

 

3.輸送によって生じるコストはそう大きくないという話

イギリスとイタリアの担当プレイヤーは不可避的に輸送するのでそうではないかもしれませんが、移動や移動支援に比べて使う頻度が低い輸送命令。無意識のうちに選択肢から外してしまっている人もいるのではないでしょうか。

沿岸地域を占領しようとするときに、ついつい隣接する海に漂う海軍に移動命令を出してしまいがちです。

 

が、輸送という手段は思ったよりも低コストで、思ったよりも有益です。

 

まず、コストについて。

もし、遊んでいる陸軍ユニットがいない場合には、確かに陸軍を輸送するのはムリでしょう。(その場合、そもそも戦力が足りていない可能性が高いので、本当なら戦線の縮小が望ましいのでしょうが。)

そうでないなら、海軍が直接移動するのと、陸軍を移動させるのとではコストはかわりません。なぜなら、陸軍は海を越えて移動支援を出すことができない以上、海軍の移動によりパワー数が増えることはないからです。

そして、リスクもほとんど増えません。

輸送が失敗するときは、輸送する海軍ユニットが取り除かれたとき(撤退することになったとき)です。支援カットと違い同数のパワーで攻撃されても輸送は成功します。

輸送するユニットにも維持支援はできますから、輸送失敗のリスクはイメージするよりは小さいと言ってよいでしょう。

 

陸軍を輸送したときのメリットは言うもさらでしょう。

内部に進行するもよし、反対から挟撃している他国ユニットを支援するもよし、あるいはさらに輸送して飛び地をとるのもありでしょう。

反撃されたときに逃げ場がなくて解体するリスクはありますが、基本的にはメリットが十分あると言えます。

 

ということで、選択肢から無意識に外してしまいがちな輸送ですが、遊んでいる陸軍があるときや、沿岸から攻め入ろうというときには、積極的に検討してみてください。

 

4.ユニットの増設/解体は重要という話

ユニットの行軍命令(移動や支援など)には無数の選択肢が存在するため、じっくりと悩んで選択することでしょう。

これに対して、増設・解体については何となくで決めてしまうプレイヤーも少なくないと思います。行軍命令と違って命令を決める時間を明確に決めないことがあるというのも、この意識を助けてしまっているかもしれません。

 

しかしながら、「どこに」「何の」ユニットが作られるかというのは周辺国のプレイヤーにとって重要な問題になりえますし、どのユニットを解体するかは防衛にとって致命的な分岐点となりえます。

1.増設

増設のときに考えるべきことはいくつかありますが、見落としがちなわりに重要な要素が「周辺の(友好)国にとって脅威となるか」です。

例えばフランスがマルセイユに海軍を造ったらイタリアはどう思うでしょうか。少なくとも、伊仏の友好関係にプラスの要素とはならないでしょう。

マルセイユに陸軍を造ったら多少はマシでしょうが、伊仏の関係を何よりも大切にしたいなら増設を避けるべきです。

 

そして肝心なことは、増設したあなたの真意を相手はわからない、ということです。

かりにうっかり増設してしまったとしても、あるいは隣国の防御に使ってもらうためだったとしても、それは相手の目線からでは知りえないことです。

次の春ターンで懇切丁寧に説明しようとも、口でしゃべったことより盤面に現れたものを信頼されたらどうしようもありません。

 

増設によって生じた友好関係のヒビは簡単に修復できないと思っておきましょう。

 

……とはいえ、裏切るのに最適なタイミングが増設のときということもあります。そのときには、積極的な増設も覚悟したいところです。

 

2.解体

これは意見がわかれるところかもしれませんが、ユニットを解体しないといけないということは他国に攻撃されているということですから、基本的には防衛に支障がないように選択すべきだと、僕は考えています。

といっても、「防衛に支障がない」かどうかの判断がきわめて難しく、そう考えたところで正解が思いつかないということもままあります。

ということで、僕が解体するときに考慮している要素を一応列挙することでご容赦いただきたいと思います。

 

・攻撃の強い意志をもっているのは誰か。

交渉によって停戦の余地がない相手にはユニットのパワーで対応するしかありませんから、そのユニットを減らすことは致命的になります。

 

・停戦できそうなのは誰か。

これは2つの意味で検討する必要があります。第一に、停戦できる相手にユニットを割く必要性が低いために。第二に、停戦できそうな相手に攻撃を継続するインセンティブを与えないために。

 

・他のユニットと連携できそうか。

必ずしも自国のユニットでも、同盟国のユニットでも。単騎で孤立したユニットは交渉で使うなら格別、それだけではほとんど意味がないと考えます。

 

・本隊と合流できそうか。

上記と似ていますが、ユニットを集結させて相互維持で守りを固めるという選択肢は意外と有効です。攻めてきていた国が反対から攻められて帰っていくかもしれませんし、小国どうしで助け合えるようになるかもしれません。

 

・突破できそうな場所はあるか。

大勢力が中勢力になるときには気にしなくていい観点ですが、いよいよ滅亡もあり得るとなったら考えましょう。本国で滅亡を迎えるか、一点突破して亡命政権となるのかを。

 

3.小括

ということで、増設も解体も難しいんですが、まさにこの難しさこそがここで伝えたかったことになります。

いろいろ考えることがあるので、何となくで決めちゃわないようにしようね、という話でした。

 

5.撤退フェーズも重要という話

ユニットが撤退を余儀なくされて残念に思うかもしれませんが、ちょっと考え方をかえてみてください。他のユニットの移動が確定したあとでさらに選択ができるということは、実はお得なことでもあるんです。

 

それは、空いている補給拠点や要所に入れる可能性があるということでもありますが、「あえてその選択をしたこと」を交渉材料にできるということでもあります。

「撤退先として不可侵としていた場所を選択できたのに、違う場所を選んだ」のは、同盟維持において有効な材料になると思いませんか?

 

そういう意味では、撤退せずに解体するという選択も含めて、撤退フェーズも自発的な選択を意識してみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

ということで2回にわけて書いてきましたが、戦術的なことはいったんここまでにしたいと思います。

長々と説明しましたが、カンタンにいえば、移動命令、移動支援命令が思考の中心になりがちだけど、他の命令も同じくらい重要だから軽視するのは危ないね、という話です。ディプロマシーに参加する人は意識してみてください。

ディプロマシーについての自省録はここで終わりかと思いきや、次の記事(から?)は戦略編です。外交方針も含め、もう少し大枠でやらかしたミスについて紹介していきたいと思います。