ディプロマシーについての自省録①

どうも、コーヒーはホット派の四扇イドラです。

 

みなさんはディプロマシーというゲームをご存知でしょうか。アモアス配信者たちがYoutubeでやっていたりしたので、最近知ったという人も多いかと思います。

そして、そのなかには自分でも遊んでみたい、あるいは初めて遊んでみたら(なぜか)ぼろ負けした、という人もいるんじゃないでしょうか。

この記事からいくつか、僕自身が初心者時代によくやった(今もよくやる)ミスを書いていこうと思います。

熟練者には当たり前の話もあるかもしれませんが、これから始める人たちへの参考になれば幸いです。

 

なお、ゲームルールについては知っている前提で話しますのでYoutubeで「ディプロマシー ルール」などを調べてヒットした動画をご参照ください。

また、各国の具体的な戦術、初動などは、これもよくまとまった記事がありますので、そちらをご参照ください。

 

※ディプロマシーは1900年代初頭を舞台としたゲームとなっております。

以下、これにかかわる名称、表現はすべてゲーム上のものであり、実在する固有名詞、歴史上の事実等とは一切関係がありません。

 

1.ユニットは動かさないほうが良いときも多々あるという話

一番最初に書いておくべきはこれでしょう。

ディプロマシーは拠点を増やしていくゲームですし、とくに最初は近くの補給拠点を採りに行く必要があるので、ほとんどのユニットを動かす必要があります。

しかし、すべてのユニットを動かすべきとは限りません。

 

「せっかくユニットが動かせるのに、これを遊ばせておくのはもったいない」

 

こう考えてしまう人は少なくないでしょう。そして、ユニットを不用意に動かした結果、かえって不利な状況を作り出してしまうことも多々。

とはいえ、ユニットの移動が1ターン遅れて攻めきれないということもあり、千変万化する戦況でユニットを動かす/動かさないの判断はとても難しいものです。

 

ということで、以下、ユニットを動かさないメリットがある場面を紹介しますので、考慮要素としていただければと思います。

 

1.補給拠点にいるとき

当然のことですが、補給拠点をあけると他国に入られるリスクは上がります。

隣接する地域に敵対国のユニットがいる場合はそのリスクに気づきやすいですが、友好国のユニットがいる場合や、多国間で争いが生じている場合には見落としがちです。

撤退を余儀なくされたユニットに、補給拠点に入る選択肢を与えるのはもったいないですから、近くに自国以外のユニットがいる場合にはくれぐれも気を付けましょう。

 

2.複数の国をにらめる場所にいるとき

抽象的に説明しようとすると難しいので、初期配置のワルシャワ陸軍(ロシア)を見てください。

シレジアに入ればドイツに、ガリシアに入ればオーハンに圧力をかけることができますし、リヴォニア経由で対英の攻守に使うことも可能でしょう。

このような場所にいるユニットは、「どの戦線に投入するにも時間がかかる」といえますが、「情勢を見てから動かすことができる」ともいえるわけです。

先ほどの説明で、もしロシア担当プレイヤーが初手対墺を決めているならガリシアへの移動命令でもよいでしょうが、誰を相手にするか決めかねているのであれば維持命令をするのも一つの手でしょう。

 

同様のことは他の場所でも起こりえます。とくに様子見をしたい国のプレイヤーは、戦況が見えてくるまでユニットを動かさないという戦術も持っておくとよいでしょう。

 

3.敵を作りたくない/増やしたくないとき

ディプロマシーの盤面上、どの国も複数の国と接しています。(初期拠点は接していませんが、領土を伸ばせばいずれぶつかります。)

しかし限られたユニット数で同時に相手取れる国はそう多くはありません。

したがって、まさに侵攻しようとする国以外とはできるだけ友好関係を築く必要があります。そんな友好関係を結ぼうという国のほうにユニットを動かしてみてください。当然、相手は警戒しますし、それによって挟撃や包囲を招いてしまうかもしれません。

 

1ユニットで拠点を取れることは少ないですから、ユニットを動かしたプレイヤーには敵対する意思などないかもしれませんが、動かされたプレイヤーには防衛するコストが生じるため警戒心は強くなります。

理由のないユニットの移動のために、意図せず敵を作ってしまわないように気を付けましょう。

 

4.近くで他国どうしが争っているとき

2.の場合と違って、実際に複数の国と隣接する場合です。

自分の本国も含めた三つ巴という状況であれば、ユニットの使い道がないということは少ないでしょうが、孤立したユニットの場合はどうでしょうか。

この場合でも、孤立したユニットのパワーは有力な交渉材料になります。

自国の領土が増えないので美味しくない状況に見えますが、易々と後退させるのはもったいないのかもしれません。(もっとも、本国が危険であればすぐに合流すべきでしょう。)

 

ユニットがそこにいることで生じる交渉上のメリット/デメリットにも思いをはせて動かすかどうか決めたいところです。

 

5.背後に同盟国のユニットがあるとき

ディプロマシーが信頼と裏切りのゲームであるため、同盟国(友好国)との関係はとくに注意しておく必要があります。

隣にいるのがどれだけ誠実な同盟国でも、欧州制覇という勝利条件がある以上、タダでもらえる領土が目の前に転がっていれば裏切るインセンティブが働いてしまいます。

そして、補給拠点を1つ奪われるということは、ユニットに2つの差ができることを意味します。もはや拮抗しているといえなくなったパワーバランスでもなお、同盟を継続し、あるいは領土を取り返せるでしょうか。

 

同盟国に背後を守られているという安心が、油断にならないよう、警戒心を示すユニットがあってもいいのではないでしょうか。

 

6.同盟国を裏切るとき

ディプロマシーの重要なルールにスタンドアウト(SO)というものがあります。

このSOの厄介なところは、玉突き式に連鎖する点にあります。

この玉突き式SOが巡り巡って致命的な結果を生み出すことがある、という話です。

 

少しややこしい話ですが具体的に説明しましょう。お手元に地図をご用意ください。

ワルシャワ陸軍とブダペスト陸軍がガレシアでSOになったとします。すると、ブダペストに1パワーで入ろうとしたセルビア陸軍もSOとなり、セルビアに1パワーで入ろうとしたブルガリア陸軍もSOとなり、ブルガリアに1パワーで入ろうとしたルーマニア陸軍もSOとなります。

さて、この場合、ワルシャワ陸軍とルーマニア陸軍がロシア軍、ブダペスト陸軍とセルビア陸軍がオーハン軍、ブルガリア陸軍がトルコ軍だったとしましょう。そして、ロシアがトルコをまさに裏切ろうとした場面だとしましょう。

ワルシャワ陸軍が不用意にガレシアに入ったばかりに、ロシアは裏切りがトルコにばれたうえ、何の成果も得られていません。

 

と、いうように、不用意に(とくに目的もなく)動いたユニットが巡り巡って致命的な失敗をもたらすことはままあります。

もちろんその逆で、奇跡的な防御へとつながることもありますが。

個人的には、重要な局面では不確定要素は少ないほうが良いと思っております。その考えにご賛同いただける人は、裏切る瞬間のユニットの動かし方には慎重になるのが良いでしょう。

 

7.合意SOを”スカす”とき

これはだいぶトリッキーで難しい技ですが、合意していたSOを実行せずスカすことがあります。基本的には、立ち入られたくない場所に相手のユニットが入るわけですから自国の不利になりますが、相手がSO前提で組んでいた戦術を崩せるわけですから場合によっては有効です。

あるいは、不可侵条約であったことにして相手の裏切りを強調しても良いかもしれません(その主張がどれほど有効かは参加者次第とはなりますが)。

周囲の他の国と協力できそうなら、選択肢の1つとして、頭の片隅に置いておいても良いでしょう。

 

まとめ

以上長々と列挙してきましたが、肝心なことはユニットを動かさないことが最善手であるような場合もある、ということです。

器械的に「この場合は移動」「この場合は維持」と決めてしまうのではなくて、ユニットがそこにいることのメリット/デメリットを考えながら、「動かさない」という選択肢も含めた検討をすると良いでしょう。