【新たなる勝ち方を求めて】おわりに

どうも、閉所恐怖症で飛行機が苦手な、四扇イドラです。

 

前回まで、7か国ぶん、12拠点の塗り方をいくつかずつ紹介して、あるいは国ごとに意識したいことを書いてきました。

勝ったときの状態を視覚化することで、戦略間の移行が容易になったり、直観的に要所がわかったりしたかなとは思います。

レギュレーションが許すのであれば、ゲームの最中にちらちらみて戦略の修正等にいかしていただけたらと思います。

 

とはいえ、このままではディプロマシーのツールで色を塗っただけの人になるので、いくらかの考察を加えたいと思います。

 

突飛な戦略は取りづらい

このシリーズを始めたのは、12拠点を取ることをゴールとするならテキトーに塗っても足りるから柔軟な戦略が生み出されるんじゃないか、と考えたことによります。

が、そんなことはありませんでした。

確かに盤面を平面的に捉えると、かなり自由に塗ることが許されるんですが、ここに時間という要素を加えるとかなり制約があることに気が付きます。

自分が12拠点とれば勝てる程度の時間しかないのであれば、相手もまた12拠点取れば勝てるわけです。そうなると、ある程度セオリー化され、行軍効率を落とさずに展開できる戦略をとる国が現れた時点で、非効率で珍妙な戦略を取る自分は勝ちづらくなってしまうわけです。

拠点を塗る効率から、結局は大別して2から4の戦略に収束し、制限時間ギリギリになって取れそうな拠点を狙う結果、盤面に多様性が現れるということになろうかと思われます。

なんにしても、最初から奇をてらおうとすると策に溺れ、あるいは効を奏したにもかかわらず遠国の拡大に間に合わないということになりそうです。

そういうわけで、時間制限のあるゲームこそ、オープニングをある程度頭に入れておいて効率の良い初動を心掛ける必要があるでしょう。

中長期の同盟が組みやすい?

各国の画像を見比べていただければ瞭然かと思いますが、相互に矛盾しない戦略をとる余地がかなりあります。

34拠点しかない盤面で18拠点を取ろうとすると、2か国以上の勝利条件は必ず矛盾しますから、最後まで仲良しということは論理的にあり得ません。(どちらかが勝利を放棄しない限り。)

しかし、12拠点を2か国が取って終わることは十分にあり得ますから最後まで仲良しの可能性が残ります。

もちろん、勝利条件は”12拠点とること”ではなく、”もっとも多くの拠点を有していること”ですから、最後に争うことにはなりますが。お互いの拠点を取る以外に、拠点を増やす効率の良い方法があれば、敵対しないで終わることもあり得るわけです。

とくに意識したいのが、隣接する国と同盟しやすいということです。英仏、伊墺、露土などがそれにあたります。

下手に裏切ってヘイトを集めるよりは、最後まで仲良し感を保ち続けるという選択は、時間制限によってかなり有意になったように思われます。

同時に、それを前提として効果的に裏切ることもまた、かなり有意となったわけですが。

拠点、意外と遠い

ひとつめの感想に近いものがありますが。

初期拠点付近の拠点を集めて行けば12拠点までたどり着けるんじゃないだろうか、という、ものすごく楽観的な直観があったわけですが、そんなことはありませんでした。

18拠点取るゲームをやってる人からすれば遠出しなくていいかもしれませんが、時間制限制から入った人は、それなりに遠くの拠点まで取らなくてはならないという意識をもつ必要があるでしょう。

それは、2つの場面で顕著であるように思われます。

第一に、同盟を組むにあたって。直近の敵のみを意識した同盟が、将来の自分を苦しめるということも、珍しくないでしょう。協力しようとする相手が、将来取るべき拠点を有しているかを考えるだけでも外交力が上がる気がします。

第二に、ヘイト管理において。8拠点くらいの時点で警戒され、背後を突かれたり挟撃されたりすると、前線にユニットを送れなくなり、拠点を伸ばせなくなります。時間制限があるゲームならではの駆け込みも含めて、固有のヘイト管理が必要になる気がします。

残された課題

このシリーズでは、全部の国が同じように成長していき、または退場するという状態を想定しながら、検討してきました。言い換えれば、誰もが勝ちを目指しているし、その目が残っていることを当然の前提にしていたのです。

が、時間制限のあるゲームでは、途中で、どうやっても勝てない国が現れます。たとえば、残り2ターンで3拠点しかない国はどうやっても勝てないわけです。

そういった国が、外交で、あるいは行軍でどういう動きをするかについて、およそ無視してきたのです。

しかし、ディプロマシーは外交を中心とする比較的自由度の高いゲームですから、この点を無視することはできません。

 

もっとも、この課題は、かなり難しいです。負けを目前としたプレイヤーが何をしたいと思うかは、そのプレイヤーの性格や、それまでの外交の流れ、あるいはそのコミュニティの雰囲気などによって様々です。

この辺りはまあ、もう少し対人卓の経験を増やして、あるいは観戦してからということにしたいと思います。

 

以上、お付き合いいただきありがとうございました。

何かあればコメントなどでお願いします。